書籍『伝えよう! 年中行事のこころ ー地域の魅力・日本の魅力』

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著:大舘勝治/さいたま民俗文化研究所/A4判/128頁/カラー/(写真・図版 約240枚)/ 2024年2月

■ 正月の行事
正月行事―「歳神様」は来訪神
来訪神―歳神様を迎える
七草―まな板を叩いてナズナを刻む
農家の仕事始め―歳神様が田畑に出向く
小正月―満月が旧暦時代の正月

■ 春の行事
節分―大豆の呪力と臭い匂いで邪悪は退散
初午―稲荷様を祀る行事
家の雛祭り・集落の雛祭り―河原沢のオヒナゲエ
稲作開始の行事

■ 夏の行事
端午の節供―男児の無事成長を五月人形や鯉幟・菖蒲に託す
田の神去来信仰―来訪神「田の神」を迎え、そして送る
麦作儀礼―麦作りに祈る地の神・精霊
六月の「夏越の祓え」

■ 七夕・盆の行事
七夕―「笹の葉が軒端に揺れる」原風景・地域的特色
盆行事―祖霊を迎え饗宴

■ 秋・冬の行事
八朔の節供―嫁が里帰りする日
十五夜―秋の収穫を祝う
トーカンヤ(十日夜)と初亥の日―北の大根・南の米文化
オカマ様・荒神様―縁結びに出雲に旅立つ
恵比須講―恵比須・大黒様に祈願と感謝
八日節供・目籠節供―邪悪が恐れる多くの目
冬至―邪気を払う柚の力

 昭和の高度経済成長期の時代が過ぎ、平成時代が終わり令和の時代に変わった今、振り返ってみれば、地域社会の中で当たり前に行われていた年中行事の多くは消滅し、また記録もされないまま消滅する危機にある。伝えられていくものの宿命と思いながらも、残念な気持ちも大きい。日本のどこにでもある新旧住民の混住化社会の中では、地域への帰属意識、郷土愛が芽生えるのに時間がかかり、民俗行事が瓦解していく今日である。その間隙を縫って、居住地域の歴史や文化とかけ離れた他地域の踊りや外国のカーニバル、行事などがイベントとして採用されている。こうした状況を一概に否定するものではないが、住まう地域の民俗行事を掘り起こし、伝えていってほしいのである。行政の支援も急務である。
 古来、地域社会で行われてきた民俗行事、とりわけ年中行事には日本人の感性と思いやりが内包されている。地域社会における民俗行事の魅力は、共同体運営の核となる資源であり、また地域に人を呼ぶ地域活性化の資源でもある。
 衰退著しいが、昭和時代を超えて続く家ごとの年中行事について、本書を見ながら振り返り、筆者の「日本を伝えよう!」の心の叫びをご理解いただければ幸いである。

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カテゴリー:本・雑誌・漫画>>>本>>>人文
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